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コスト競争があまりにも織烈なため、規制がなければ、ただやみくもに法規制をしても、実効は期待できない。 二酸化炭素削減対策では、ヨーロッパが率先して高い目標を制定した。
ヨーロッパのメーカーだけに大きな負担がかかった。 反面、対策の結果として燃費を向上させれば、それだけ国際競争力がつくことになる。
あたりのかねあいがむずかしいところである。 一九九七年五月から、低公害車の開発に意欲的な本田がカリフォルニア州に電気自動車を投入した。
本田の電気自動車はGM車に比べて小型で、一回の充電での走る距離も長いだけに、どのような評価が得られるかが注目される。 同年十二月までに、フォード、クライスラー、トヨタも販売をはじめた。
充電所などのインフラの整備もまだ進んでいないうえに、各社が投入する電気自動車の性能もさほど違わないことから、狭い市場の奪いあいになるのは確実だ。 世界の先進諸国都市が見守る実験場としてのカリフォルニアでの電気自動車販売は、どのような問題や不都合が発生し、改善されていくのだろうか。
今後、各国で導入が検討されだす規制の行方を占ううえで、メーカーの技術開発の進展とともに大いに注目していくべきだろう。 炭素税は是か非か一九九七年六月に発表した「環境白書」で、環境庁は、日本政府が二酸化炭素の削減を明確にし、炭素税を導入すべきだと主張している。

炭素税邑は、排出する二酸化炭素の量に応じて税を課すもので、すでにヨーロッパ五ヵ国が導入している。 環境対策に力を入れるスウェーデンでは、二酸化炭素一トンあたり約二万円の炭素税を課している。
こうした状況からしても、「環境白書」は、二OOO年の排出量を一九九O年の水準に抑制すべきであるとする国際公約を達成するためにも、二酸化炭素一トンあたり三千円程度の炭素税を課して、によって得た税収を削減のための技術導入の補助金にまわすべきだとしている。 炭素税の導入は、そうでもしなければ二酸化炭素の削減は実現できないという考え方だ。
に対し、一九九七年六月、産業界寄りの立場をとる通産省は、「現状が増税する環境にあるとは思えない」と否定的な見解を明らかにした。 同様に運輸省も、「排出量削減の基本政策より低燃費化。
炭素税は消費者の負担増だけの結果になりかねない」と、批判的である。 一九九七年四月、政府は、二OOO年までにエネルギー消費の伸びをゼロにするための総合省エネルギー−対策案をまとめた。
中で自動車関係としては、低燃費車、低公害車の普及を促進するため、自動車取得税を減免する法改正、都市部へのマイカー乗り入れ規制などが提案されている、二酸化炭素削減の方策として日本が炭素税を導入した場合、日本は国際競争力をかなり失うのではないかとする見方もある。 日本の産業は他国と比べて省エネルギーがかなり進んでおり、よりいっそうの削減は、欧米先進国より負担が大きいとみられているからだ。
主要先進国の一人あたりの二酸化炭素排出量を比べると、原子力発電の比率が高いフランスは日本より少ないが、ドイツは約三五パーセント、カナダは七Oパーセントも多く、アメリカにいたっては二倍以上である。 今後は、燃費や排気量によって自動車税の負担の程度がより大きく違ってくる制度などが導入される。
さらに石油価格の上昇によってガソリン代がかさむようになるため、消費者がより小型で燃費の高い車へとシフトしていくものとみられている。 まで、実現にはかなり長い時間と技術のブレークスルーが必要であるとされてきた次世代技術が、次々と開発されつつある。
自動車産業の実状を踏まえつつ、現在、求められているガソリン・エンジンの有害物質の排出を大幅に抑え、燃費もかなり高める技術開発、さらに進んで、実用性のある代替エネルギー車を開発することは、従来からメーカー側が主張してきたほどむずかしいのだろうか。 少なくとも、基礎研究は別として、トヨタは次世代車といわれていたハイブリッドカーを、本格的に取り組んでからわずか二年半で、曲がりなりにも量産にまでこぎつけた。

立ちはだかる次世代技術の壁の高さや各要素技術の水準にも左右されるが、メーカーがいかに危機意識をもって、研究開発に取り組み、どれだけ資金や人材も投入するか。 要はやる気の問題であり、経営者の決断の問題であることを、トヨタのハイブリッドカーやベンツの燃料電池自動車が教えている既存のガソリン・エンジンの技術は成熟し、安定しているし、それに関するあらゆる工場設備や試験設備も有しており、インフラも整っているいまのところ、次世代の動力よりガソリン・エンジンのほうが性能は優秀で、コスト的にも有利であり、十分な利益もあげている。
ガソリン・エンジンを自ら否定することになる次世代技術の研究開発に、あえて巨額の投資をしてまで踏み込む必要があるのか。 できることなら、決断はしたくないし、どうしても必要に迫られるならば、遅ければ遅いほどよいというのがメーカーの本音であり、既存の技術が成熟して広く普及している場合の一般的な対応である。
技術的にむずかしいというより、とにかく本腰を入れて取り組もうとしてこなかったのである。 日本の自動車メーカーは、燃料電池など一部の未知なる技術を除いては、開発できるだけの潜在能力をもちえているのだ。
だから、ガソリン自動車の衰退が、ただちに、現在の自動車メーカー自動車ものの危機につながることはない。 次世代技術を自らのものとし、取り込んで生き延び、発展していくことだろう。
ただ、新技術や製造技術においては、違った異業種が参入してきて力をもち、欧米ではベンチャー・ビジネスが台頭してくるかもしれない。 転換期には必ず運、不運がつきまとい、メーカーの盛衰逆転が起こるものだ。
経営者の時宜を得た判断や決断が決定的意味をもってくるケースも少なくない。 たとえば、航空機においてこんな歴史のドラマがあった。
第二次大戦末の軍用戦闘機からはじまったジェット化による技術革新の波は、五0年代前半には民間輸送機の分野にも押し寄せてきた。 当時の評価としては、スピードがすべてに優先する戦闘機などではジェット機が最適、旅客機も含む輸送機の場合は、経済性、安全性を加味すると、レシプロのほうが有利だとみられていた戦闘機よりはるかに大型となる輸送機をジェット化するには、解決しなければならない未知なる技術が数多くあった。
当時のダグラス社は、戦前からレシプロ機の分野でアメリカおよび世界の市場を席捲、DC3などはアメリカ国内の輸送機市場の九三パーセントを占めるほどの勢いだった。 それだけに、巨額の利益を生み出すレシプロ機に固執して、ジェット機の開発着手が遅れた。
民間輸送機ではダグラス社の足元にもおよばなかったボーイング社が、起死回生を狙い、アメリカのメーカーとしては先障を切ってジェット化に取り組み、大型機B707を開発して市場に投入した。 経済性では劣っていたが、高速性、快適性ではレシプロ機を上まわっていたため、飛行時聞を短縮できるメリットが受けて、一気に受注を伸ばして、たくまにレシプロ機を追い抜いてしまった。
民間用ジェット輸送機の開発では、ボーイングはダグラスより三年早く着手し、就航では一年早かったことで、大きく引き離し、この市場を独占して今日にいたっている。


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